四季を染める 紅花染め
12月は紅花を染めます。
花の時期は7月ですが、摘んだ花を乾燥させて保存しておきます。
霜が降りだす晩秋から冬にかけての冷たい水で晒すと発色が良いそうなのでこの時期に染めることにしました。
紅花は最初から最後まで火を使うことなく水だけで作業をするので「楽」ですが、今の時期だと手の感覚が無くなってきて違う意味で辛いですね。
紅花を不織布などで包んで水に晒し、黄の色を取り除いていきます。
ここでしっかりと黄色を取り除かないと綺麗な赤にならないそうです。
6時間かけて揉み出しては水を変えて晒すを繰り返してもまだまだ黄色が出てきます。
次に赤い色を取り出すための作業。
赤はアルカリで取り出すので、水に炭酸ナトリウムを加えて少し揉んで2時間くらい放置。
これを3回繰り返して赤い染液をたっぷりと作ります。
この間に先ほど取り除いた黄色の液を使って黄染めをします。
紅花の黄色は綿には定着しないので、濃染処理をして色が入りやすいようにしておきます。
ミョウバンで中媒染し色を留めます。
ようやく本題の紅染めです。
赤い色素を取り出すのにアルカリ性にしているので、クエン酸を加えて中性に近づけておきます。
準備しておいたストールを染液に浸して2時間くらい放置。
絹は赤く、綿は目が痛いくらいのどピンクに染まりました。
仕上げにクエン酸を薄く溶かした水で色留めして完成です。
想像以上に鮮やかな色です。
濃い色にしたい時は染めては乾かしてを何度か繰り返すと良いそうです。
紅花の赤は紫外線に弱く堅牢度が低いので、色落ちが早いのが残念なところ。
黄色の方は重なった部分にほんのりと紅の影が浮いて淡いオレンジっぽい色になりました。
紅花は「呉藍」とも呼ばれ、古くから日本で使われてきた染料の一つだそうです。
昔は今のように薬品がなかったので、アルカリにする時は藁を燃やした灰を使い、中性に戻すために米酢を使っていたそうです。
最後の色留めを兼ねた発色剤としては「烏梅」が使われ、これを使った染めは鮮やかな紅になったそうです。
次回は紅を使った重ね染めをしてみたいです。
丹山波(にゃんば)
丹波国篠山藩
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